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2024/04/18

弱みこそ僕の個性!ボイパとアカペラをもっと身近に

伝説のアカペラ番組が注目した“声”が魅力のインフルエンサー!

経済学部 経済学科4年 寺尾大樹(てらお だいじゅ)さん

幼いころからJ-POPのハモりのパートが大好きで、徐々にアカペラに惹かれていったという寺尾さん。中学時代のある日、動画サイトにアップされていたボイスパーカッションと出合い、衝撃を受けたそうです。以来、ボイスパーカッショニストの動画を見ては、口の動きや発声を真似ながら毎日練習を続け、遂に伝説のアカペラ番組「ハモネプリーグ」(フジテレビ)に出場する機会を得ます。大学卒業後も音楽活動を続けると話す寺尾さんにその決意の裏側にある情熱と想いを聞きます。

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Q「Buzz(バズ)」という芸名で活動されていますが、その由来は?また、ボイスパーカッション、アカペラとはどんな音楽なのでしょうか?

A

「Buzz」は音楽活動の先輩につけてもらったアダ名です。アメリカのアニメ映画の登場人物から取ったそうですが、理由はよくわかっていません(笑)。馴染みがあるので、そのまま使い続けています。

ボイスパーカッションは、声で打楽器のパフォーマンスを再現する音楽です。そして、アカペラは楽器による伴奏なしで行う合唱です。アカペラの音楽にボイスパーカッションが加わると、人の声だけで厚みと深みのある音楽を創ることができるんです。この合唱とボイスパーカッションを含めて「アカペラ」と呼ぶことが多くなってきています。

Q先日は、有名なアカペラの番組「ハモネプリーグ2024」に出場されましたが、その経緯を教えてください。

A

実は、今回が7回目の挑戦でした。全国から600組以上が応募してくる番組だと聞いていたので、最初の応募の時は落ちても当然と思っていたのですが、2回目の時は自分なりにしっかりとレベルを上げて、エントリーシートにも自分の思いをびっしりと書き込んで応募しました。ところが、落選を伝えるメールすら届かない。少しは自信をつけていたので、本当に悔しくて大好きな「ハモネプ」の番組を見るのが辛くなりましたね。それでもなんとか3回目に挑戦、自分なりの個性を表現したいと、よく知られている楽曲に大好きなジャズアレンジを加えました。それでも落選。もう心が折れますよね。

それでも「お前のボイパはすごく進化していている、すごいよ」と励ましてくれる友人に背中を押されて4回目の挑戦。

この頃には高速で連打するボイパを体得していましたから、強みで勝負しようと考え、これだけは誰にも負けないというパフォーマンスを準備して、エントリーシートにもその思いを書き綴りました。これをやれば出れるという自信も少なからずありました。なのに結果は落選。もう無理だと絶望しました。その時の番組を見たら、他の出場者たちのボイパが想像以上に進化していて、自分にはできないようなパフォーマンスを繰り広げていたんです。

Qその挫折感からどのように立ち上がったのですか?

A

その時は自分の強みだと思っていたものが、実は強みでも何でもないことを思い知らされてすごく悲しくなりました。自分の強みというのがわからなくなって、完全に自分を見失ったような感覚です。もう大学3年生に突入する時期だったので、就活のことも考えなければならないし、両親からも就活したほうがいいとアドバイスを受けました。

当然、焦る気持ちはありましたが、これからの生き方を決めるためにも5回目の挑戦を決意しました。その時のエントリーシートには自分の強みなどは一切書かずに、「ハモネプにひたすら落ち続け、それでもあきらめることができずにいる自分が悔しくして恥ずかしい。周りからバカにされることもあって悲しい」と、その時の本音だけを書いて送りました。

そうしたら、状況が一変したんです。番組から「もっと話を聞かせてください」と取材依頼をいただき、自分の素直な気持ちを話したら「ハモネプに落ち続けた男」として取り上げてくださって(笑)、予選も無事突破。出場することができました。

自分の強みをどれだけ探し続けても上には上がいて簡単に勝てるものではありません。でも、弱みの中にはその人だけのストーリーがあって、人と比較できない個性を秘めている。この経験は大きな気づきを与えてくれました。

勇気をもってその弱さをさらけ出すからこそ、人は共感し、応援してくれる。自分の弱さこそが最大の強みになり、欠けている部分こそがその人の魅力になるんです。

Qその気づきが「ハモネプ」への連続出場につながるのですね?

A

そうです。7回目の挑戦は大学4年生の春。全国の大学から仲間を募って、アカペラのグループ「くじらの逆襲」を立ち上げ、自分は主にボイスパーカッションを担当しました。惜しくも決勝進出は逃しましたが、悔いはありません。あきらめなくてよかった。続けることが大切だな、と改めて感じています。

Q卒業後の活動について教えてください。

A

アカペラの世界ではようやく名前を知っていただけるようになり、仲間や先輩とのつながりも出来てきています。大学生活4年間の集大成として、先日は約200人の観客を集めた自分史上最大規模のライブを開催し、お客様にもアカペラに参加していただくパフォーマンスを行ったりして盛り上がりました。やっぱ、アカペラってええなぁと手応えを感じています。この勢いに乗って、卒業後は拠点を神戸に移し、アカペラの魅力を多くの人に届けたいと思っています。アカペラでは有名な楽曲のカバーが多く使われますが、いずれはオリジナル曲を作詞作曲して勝負したいとも考えています。

Q最後に、Buzzさんの究極の夢を聞かせてください。

A

アカペラやボイスパーカッションは、大きな可能性を持った音楽です。人の声だけで成立するのですから、いつでも、どこでも、誰とでも始められます。その魅力をもっと多くの人、まずは日本の人に知ってほしい。そのためにも、自分の弱みもさらけ出しながら、果敢に発信を続けていくつもりです。「Buzz」の名前でYoutube、Xなどからも発信していきますので、一度のぞいてみてください。一緒に声だけのパフォーマンスを楽しみましょう。



経済学部 経済学科4年 寺尾大樹(てらお だいじゅ)さん

大阪で生まれ、生後間もなく愛知県一宮市に転居。高校時代には、「何のために大学に進むのか」がわからなくなり、不登校となった経験も。この時は、家を出たあとカラオケボックスに行き、一日中歌っていたという。自分ではいわゆる“隠キャ”だと話すが、漫才や落語など声を使ったエンタメが大好き。好きな言葉は「類は友を呼ぶ」。日頃から自分に似た人が寄ってくるなという感覚があり、「だからこそ自分ももっと磨きたい」とも。短所は計画性がないこと。長所は、計画する前に動き、違うなと思ったものは捨てていく行動力だと自己分析も明快。